AWSでのサーバー構築まとめガイド | 方法・手順や注意点まで解説
 
            
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01.AWSとは?
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供する世界有数のクラウドサービスです。インターネット上でサーバーやデータベース、ストレージ、ネットワークなどのITリソースを、必要なタイミングで必要な分だけ利用できるサービスとして、多くの企業や個人に広く活用されています。
しかし、AWSは自由度が高い反面、信頼性の高いサービスを提供するためには正しい知識・手順、運用設計が欠かせません。本コラムでは、「AWSでのサーバー構築」という観点から、サーバー構築の具体的な流れ、注意点&運用のポイントまで詳しく解説します。

02.AWSでサーバーを構築するメリット
AWSのサーバー構築には、従来の物理サーバーや他のクラウドと比較して多くのメリットがあります。ここでは、特に重要な4つの観点から解説します。
コスト削減
AWSは従量課金モデルを採用しており、利用した分だけ費用が発生するため、余分な初期投資やリソースの過剰導入によるムダなコストを避けることができます。加えて、物理サーバーで必要だった機器の保守・管理費、設置スペース、電力・冷却設備費などの固定費も不要となるため、トータルでの運用コストを大幅に抑えることが可能です。
柔軟な拡張性
AWSの大きな強みは、サーバーやストレージ、ネットワークなどのリソースを必要なタイミングで即座に増減できる点です。例えば、繁忙期や一時的なキャンペーン等でアクセス数が急増しても、数分でサーバーのスペックや台数を拡張可能です。需要が落ち着いた際はすぐに縮小できるため、常に最適な規模でシステムを運用可能です。この高いスケーラビリティは、事業環境の変化やビジネスの成長にも柔軟に対応できます。
高い可用性・セキュリティ
AWSは世界中に複数のリージョン(国や地域ごとに設置されたクラウドデータセンター拠点)とアベイラビリティゾーン(運用区画=同一リージョン内の独立したデータセンター群)を持っています。
これにより、万が一障害や災害が発生しても、別拠点への自動切り替えが可能で、サービスの継続稼働率を高めることができます。また、不正アクセスを防ぐセキュリティグループ(インスタンス単位での仮想ファイアウォール)や、IAMによるユーザーやインスタンス、AWSサービスごとの細やかな権限設定、データ暗号化機能など、多層的なセキュリティ対策も充実しているため、安心安全なサーバー運用を実現できます。
自動化・運用効率の向上
AWSには、サーバーの自動リソース増減を可能にする「Auto Scaling」や構成管理テンプレートの「CloudFormation」、監視サービスの「CloudWatch」など、運用の自動化・効率化につながる機能が豊富です。運用・保守作業の自動化によって、人的ミスの低減や運用負担の軽減が図れるだけでなく、システム全体の安定稼働と迅速な障害対応にも貢献します。

03.AWSサーバー構築での基本構成
AWSにてサーバーを構築するには主に下記のようなサービスを組み合わせ、用途に応じた構成を策定します。
Amazon VPC(Virtual Private Cloud)
「Amazon VPC」は、AWS上に自社専用の仮想ネットワーク空間を作るサービスです。サーバーやデータベース、ロードバランサー(負荷分散装置)などを安全な区画内に設置でき、サブネット分割(パブリック/プライベート)、インターネットゲートウェイ、ルートテーブル、NATゲートウェイなどと連携させて柔軟なネットワーク設計を容易に行えます。
外部公開用サーバーはパブリックサブネット、社内向け/データベースはプライベートサブネットなど、用途に合わせた高セキュリティ/高可用性ネットワーク設計が可能です。
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)
AWSサーバー構築の核となるのが仮想サーバーサービスの「Amazon EC2」です。仮想サーバー上で最適なOS(Linux、Windowsなど)を選んで利用でき、CPU、メモリ、ストレージなど個別のスペック調整、必要台数の増減や冗長化(Auto Scaling)も柔軟に設定できます。
セキュリティグループ・IAM
AWSでは「セキュリティグループ」でAmazon VPC内のリソースに対するインバウンド/アウトバウンドトラフィックを制御し、不正アクセスや意図しないポート開放を防げます。また「IAM(Identity and Access Management)」でユーザーやロール、AWSのサービス単位に細かく権限設定することができ、運用者・アプリ・システムごとに適切なアクセス管理が可能です。
ストレージ・データベース
EC2のディスク領域は「Amazon EBS」(Elastic Block Store)で管理し、システムやデータの保存に適しています。また大量データや共有ファイルには「Amazon S3」(クラウドオブジェクトストレージ)も活用されます。データベースが必要な場合は「Amazon RDS(リレーショナルデータベース)」、「Amazon DynamoDB(キーバリュー型データベース)」などを組み合わせます。
ロードバランサー・DNS
高可用性を担保したい場合は負荷分散サービスである「Elastic Load Balancing」(ELB)を利用した複数サーバーへのトラフィック分散設計が有効です。外部公開には「Amazon Route 53」でDNS管理を行い、サービスのアクセス性を向上します。

04.AWSでのサーバー構築手順・方法
ここからは、AWSで実際にサーバーを構築するフェーズを具体的に解説します。
要件定義・設計
自社のサービス内容やユーザー数、利用データ容量、処理速度、セキュリティポリシーなどをヒアリング・整理します。利用予定のAWSリージョン、サーバー台数、冗長化方式、監視・バックアップ要件、今後の拡張計画まで網羅的に設計書を作成することが後々の運用負担低減のポイントとなります。
AWSアカウント作成
AWS公式サイトからメールアドレス、企業名、支払い方法を登録してアカウントを取得します。アカウントにはルートユーザーの利用を避け、IAMユーザーでの分離管理を推奨します。
アカウント取得後は、認証強化のためMFA(多要素認証)設定を行うのが安全です。
VPC(仮想ネットワーク)の設計・作成
AWS上でサーバーを構築するには、まず「VPC(Virtual Private Cloud)」というクラウド上の"仮想ネットワーク"を準備します。 VPCの中には、用途に応じてインターネットからアクセス可能な「パブリックサブネット」と、外部から直接はアクセスできない「プライベートサブネット」を設計・作成します。
次に、セキュリティ対策として「セキュリティグループ」「ネットワークACL」で通信ルールを設定し、外部攻撃や情報漏洩のリスクを低減します。
また、IPアドレスの割り当てや、必要に応じてVPN/Direct Connectなどを用いた社内拠点との接続方法を検討します。
※VPC設計は後から変更しづらいため、初期設計は慎重に進めましょう。
EC2インスタンス作成・起動
VPC配下にEC2インスタンス(仮想サーバー)を新規作成します。OSイメージ(Amazon Linux/Windows Server等)選択、CPU・メモリ・ストレージ容量選定、SSH/RDP用キーペア生成、必要ストレージ(EBS)設定、セキュリティグループ適用などを行い、実際にインスタンスを起動します。
ミドルウェア・アプリケーションインストール
OSの初期セットアップが完了したら、Webサーバー(Apache、nginxなど)、DBサーバー(MySQL、PostgreSQLなど)、監視ソフト、バックアップスクリプトなど、用途ごとのミドルウェア・アプリケーションをインストールします。
AWSではAmazon RDS、ElastiCache(インメモリキャッシュ)などのマネージドサービスも活用でき、管理者の作業負荷を大きく軽減できます。
ストレージ設定とバックアップ運用
EBSボリュームの追加やAmazon S3連携によるデータ保存・共有、定期バックアップのポリシーを策定・適用します。
障害時の復旧手順、冗長化やライフサイクル管理、アクセス制御などを事前に整理し、運用開始後も確実なバックアップが実施されているか定期的に検証しましょう。
また、マネージドサービスであるAWS Backupを活用してAWSのさまざまなサービスで使用しているデータを一元管理し、バックアッププロセスを自動化することも可能です。
セキュリティ構成
IAMでユーザーグループ・ロールを細分化し、「権限は可能な限り最小化する」という原則に従い、不要な権限の付与や権限の一括管理を避けることが重要です。アプリケーション層にはWAF、重要データにはKMSの暗号化設定を適用します。SSL/TLS証明書による通信暗号化も標準化し、外部攻撃や情報損失リスクを最小限に抑えます。
監視・アラート設定
CloudWatchでサーバーの稼働状況(CPU負荷、メモリ枯渇、ストレージ使用率、レスポンスタイム、ネットワークトラフィックなど)を監視し、閾値を設定してアラート通知を有効にします。またCloudTrail(管理操作履歴)で管理操作の証跡を残し、監査やトラブル調査時に素早く状況把握できる体制を整備しましょう。これらの監視設定不備は障害時の発見遅延につながるため、構築直後から監視を必須とすることが大切です。
構築後の動作検証と運用開始
すべての設定・導入が終わったら、テストアクセスや負荷試験、障害時対応テスト(フェイルオーバー、復元)、セキュリティ検証などを徹底します。
問題点が見つかった場合は構成見直しや追加設定を行い、運用体制・監視体制が万全であることを確認した上で、正式な運用開始とします。

05.AWSでのサーバー構築における注意点
AWSは便利ですが、設計や運用のポイントを誤ると、後から思わぬトラブルやコスト増につながることもあります。
ここでは、AWSサーバー構築時の代表的な注意点を解説します。
周到な事前準備
AWSでサーバーを構築する前に、サービスの目的や必要な機能、予想される利用者数やアクセス数などをしっかり整理しましょう。もし計画が曖昧なままスタートすると、途中で設計のやり直しが発生したり、不要なコストがかかったりします。
特に、社内の複数部署に関係する場合は、早い段階から関係者で情報を共有し、誰がどの判断をするか(意思決定体制)もあらかじめ決めておくことが大切です。
セキュリティ対策の徹底
AWSはセキュリティ機能が充実していますが、設定ミスが重大な事故の原因となります。基本的なセキュリティルールをしっかり守るのが鉄則です。
また、AWS公式のベストプラクティス(推奨設定)を定期的に確認し、運用中も監査や見直しを続けるようにしましょう。
コスト管理とリソース最適化
AWSは従量課金なので、使いすぎや不要なリソースの放置がコスト増の原因になります。例えば、開発で使ったEC2やEBS、RDS、S3などを使わなくなったのにそのまま残しておくと、無駄な料金が発生します。
月に一度はAWSの管理画面(コンソール)でリソースを棚卸しし、不要なものは削除する習慣をつけましょう。さらに、「リザーブドインスタンス(利用予約)」や「Savings Plans(一定金額利用のコミット)」を活用すれば、より運用コストを抑えることができます。
運用監視・障害対応
AWSでも、サーバーの故障や障害はゼロにはできません。24時間体制で安定運用したい場合は、「CloudWatch」などで稼働状況を常にチェックし、異常があれば即座にアラートを受け取るようにしましょう。
また、定期的なバックアップや、その世代管理(何日分/何回分を残すか)も重要です。
もし自社だけで対応が難しい場合は、専門業者の運用監視サービスを活用するのも有効です。

06.AWSでサーバーを構築した後の監視・運用
以上のことから、サーバー構築に際しては、自社の目的に沿った構成、可用性・冗長性の確保、セキュリティ対策、リソースの最適化が重要といえます。
サーバー構築後は、安定稼働のために継続的な監視と運用が重要です。AWSにはCloudWatchやCloudTrail、S3ライフサイクル管理といった運用支援機能が備わっています。また、より高度な監視や運用を行いたい場合はZabbixやDatadogなどの監視ツールを使えば、より高度なシステム監視が実現できます。サーバー運用では、OSやソフトウェアの更新、脆弱性のチェック、バックアップ、アクセスログ分析を定期的に行い、安定稼働とリスク軽減に努めましょう。障害時の対応手順や連携体制を事前に整備し、社内で対応が難しい場合は外部サービスの活用も検討も必要です。

07.まとめ
本コラムでは「AWSサーバー」の定義および構築・運用まで詳細に解説しました。AWSは多くのメリットがある一方、クラウドならではの柔軟性や拡張性を最大限に活かすためには、AWS環境の監視・運用やトラブル対策、継続的な最適化が欠かせません。
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