AWS監視とは? 監視項目の種類から重要性まで基礎から解説
 
            
          近年、クラウドサービスの利用が広がり、企業のITインフラの主流となりつつあるAmazon Web Services(以下、AWS)は、その高い可用性やスケーラビリティ、高度なセキュリティ機能によって、幅広い業界での導入が加速しています。しかし、AWS環境が安定して効果的に運用されるためには、システム全体の状態を常に把握し、障害やパフォーマンス低下の予防および迅速な対応を行う「監視」が不可欠です。
本コラムでは、AWS監視について詳しく解説します。
目次
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01.AWS監視とは?
AWS監視とは、AWSクラウド上の様々なリソースやサービスの稼働状況、セキュリティ、パフォーマンス、コスト等を継続的にチェックし、問題発生時には素早く対処するための活動を指します。
監視を適切に行うことで、障害の早期発見や未然防止、安定運用、コスト最適化、セキュリティ強化など、AWS活用のメリットを最大限に引き出すことが可能となります。
AWS環境は複雑でリソースが多岐にわたるため、人的な監視だけでは全体を網羅することは難しく、監視用のサービスやツールの活用が不可欠です。

02.AWS監視の目的と必要性
AWS監視を実施する具体的な理由は何でしょうか?ここではまず目的と必要性について解説します。
AWS監視の目的
AWS監視の主な目的には、以下が挙げられます。
・障害の早期発見と対応
サーバー停止、ネットワーク障害、ストレージ枯渇など、システムに問題が発生した場合、迅速に異常を検知し、担当者に通知することでサービスダウンタイムを最小限に抑えることができます。
・パフォーマンスの最適化
CPUやメモリの利用率、レスポンスタイム、トラフィック量などを継続的に監視し、ボトルネックを特定することで、システムの処理効率やレスポンスの向上を図ります。
・セキュリティの維持および強化
不正アクセスや異常なトラフィック、アクセス設定のミスなど、セキュリティリスクの兆候を監視し、脅威への迅速な対応を支援します。
・リソースの適切な運用管理
過剰なリソース使用・不足などを把握し、コスト最適化や計画的なリソース拡張・縮小を実現します。
AWS監視の必要性
クラウド利用が当たり前となった今、AWS監視の必要性はますます高まっています。具体的には次のような理由から重要視されています。
・サービスの24時間365日稼働が求められる
サービス停止による損失や顧客離れを防ぐためには、日夜システムの状態を監視し、問題が発生した際には直ちに対応できる体制が必要となります。そのため、AWS監視はシステム運用上欠かせません。
・複雑化するシステム環境
マイクロサービス化や複数リージョン利用、複数サービスの組み合わせなど、AWS環境は日に日に複雑化しているため、障害発生時の原因究明がより困難になっています。
・セキュリティ脅威の増加
クラウドはその利便性と裏腹に、常に外部からの攻撃リスクに晒されています。監視を通じて不審な挙動やアクセスを検知し、速やかな対処が求められます。
・運用コストの最適化
常に運用コストを意識しなければならないため、リソースの過剰なプロビジョニングや設定漏れによる無駄遣いを監視で防止できます。
システムの稼働状況や利用状況を監視することで、必要以上に稼働しているインスタンスや、利用頻度の低いサービスを特定できます。監視によってリソースの利用状況を把握し、必要に応じて見直すことが、経済的な運用を実現するための重要なポイントです。

03.AWS監視の種類と各項目
AWS監視の項目は大きく「リソース監視」「性能監視」「セキュリティ監視」「コスト監視」の4つのカテゴリに分類することができます。ここでは各カテゴリについて詳しく解説します。
①リソース監視
リソース監視とは、AWS上で稼働している各種リソースの状態や使用状況を継続的に観察し、システムの健全性を確認する監視です。
具体的には、EC2インスタンスの起動・応答状況、CPUやメモリ、ディスクの使用率、プロセスの状態、RDS(データベース)の稼働状況や接続数などが監視対象になります。これらを適切に監視することで、予期せぬリソース不足や性能ボトルネックによるサービス品質の低下を未然に防げるほか、状態の「見える化」により運用効率も向上します。
②性能監視
性能監視は、AWS上で提供するシステムやアプリケーションの処理速度やパフォーマンスをチェックするための監視です。
例えば、Webサービスのレスポンスタイム(応答速度)、APIやDBの処理時間、ネットワークトラフィック量やレイテンシ(通信遅延)、システム全体のスループット(処理能力)などが性能監視の代表的な項目です。こうした数値を継続的に監視することで、サービスの品質やユーザー体験を維持できるとともに、慢性的な負荷やボトルネックを早期発見し、リソース拡張やパフォーマンスチューニングの判断材料を得ることができます。
③セキュリティ監視
セキュリティ監視は、AWS環境の安全性を維持するために不可欠です。
IAM(アクセス権限管理)やCloudTrailなどのAPI操作履歴の確認、不審なアクセスや異常な権限変更、セキュリティグループやネットワークACL(アクセスコントロールリスト)などの設定変更イベント、アカウントの不正利用兆候などを重点的に監視します。これにより、サイバー攻撃や内部不正・情報漏えいなどのリスクに迅速に対応でき、企業やサービスの社会的信用の維持に寄与します。
④コスト監視
コスト監視では、AWSリソースの利用料金や課金状況に着目し、無駄な出費や不要なリソース利用を防ぎます。
リソースが過剰にプロビジョニングされていないか、意図しない課金が発生していないか、利用料金の月次・週次推移はどうか、などを継続的に可視化・分析します。これにより、クラウド特有の『見えづらいコスト肥大化』を防止でき、企業のIT予算管理や運用効率向上に直接貢献します。
これらの多岐にわたる監視項目を体系的にカバーすることで、AWS環境を健全かつ安定的に運用できるようになります。カテゴリ(サービス別・アカウント別など)ごとにポイントを整理し、適切な監視設計を行うことが、クラウド運用の成功につながります。

04.効果的なAWS監視のポイント
AWS環境を安定して運用するためには、単に監視項目を網羅するだけでは十分とは言えません。監視体制や設定の工夫によって、監視精度や運用効率をさらに高めることが重要です。ここでは、効果的なAWS監視を実現するためのポイントを挙げます。
監視項目の適切な選定
監視項目を闇雲に増やしてしまうと、不要なアラートや監視負荷の増大につながる恐れがあります。まずは自社システムの重要部分・サービスに着目し、「障害発生時に特に影響を与えるリソース」や「ユーザー体験に直結する性能指標」から優先的に監視する項目を選定しましょう。監視対象を明確にすることで、効率的かつ有効な運用が可能になります。
アラートの適切な設定
AWS監視では、異常が発生した際に担当者へ即座に通知される「アラート設定」も極めて重要です。ただしアラートの閾値(しきい値)が厳しすぎたり、逆に緩すぎたりすると、運用担当者が対応すべき本質的な問題を見落としたり、逆に過剰な対応負荷が発生します。システムごとに「本当に注視すべき指標」を見極めた上で、運用に適したアラートルールを設計・運用しましょう。
監視データの活用と改善
日々蓄積される監視データは、障害対応だけでなく、将来的なシステム設計やキャパシティプランニングに役立ちます。定期的に監視データのトレンド分析を実施し、「傾向の変化」や「予兆」を事前に把握することで、システム拡張やパフォーマンス改善施策を計画的に進めることができます。また、運用体制や監視対象に変化があった際には、監視内容も随時見直すことが推奨されます。

05.AWS監視が可能なサービス/ツールについて
AWS監視を効率的かつ高精度に行うためには、専用のサービスやツールの活用が不可欠です。ここでは、代表的なAWS監視サービス/ツールと、その選択ポイントについて解説します。
AWS監視サービス/ツールとは?
AWS環境には、純正の監視サービスとして「Amazon CloudWatch」などが提供されていますが、より高度な監視要件を満たすためには外部監視ツールの利用も広く行われています。代表例として、「Zabbix」はオープンソースで柔軟なカスタマイズが可能な監視ツールとして知られ、「Datadog」はクラウドベースで多機能・高可用性・グラフィカルなダッシュボードによる監視を特長としています。こうしたツールの組み合わせにより、AWSリソースの包括的な監視体制を構築できます。
サービスとツールの違い
AWS監視「サービス」と「ツール」は運用の仕組みや役割が異なります。サービスは、監視・通知・運用支援まで一貫してマネージドで提供されることが多く、専門的な知識が不要で、素早い導入と運用が可能な点がメリットです。ツールは、自社の要望や構成に合わせて個別導入・設定できるため、柔軟性や自由度が高い反面、導入・運用のノウハウや初期構築負担が増すケースもあります。自社の運用体制や予算、システム規模に応じて最適な形を選択することが重要です。
AWS監視サービス/ツールの選び方
監視サービスやツールを選ぶ際は、監視対象範囲(リソース・サービス)、拡張性、レポート機能、アラート対応、コストなど複数の観点から比較検討しましょう。例えばZabbixは自社サーバー管理や独自要件に強く、Datadogは多様なクラウドサービス連携や高度な可視化機能が魅力です。また将来的なシステム拡張や運用の変化にも柔軟に対応できるかどうかも重要な評価ポイントです。

06.まとめ
AWSは利便性・拡張性・セキュリティに優れる一方で、複雑化する環境における運用リスクやコスト管理・障害対応など様々な課題が存在します。システム環境の可視化、安定運用、迅速な障害対応、セキュリティ強化、コスト管理のためには適切な監視が不可欠です。
AWS純正のサービスや外部ツールの活用、効果的な監視設計、専門的な運用サポート体制の導入によって、AWS環境の強みを最大限活かした運用を実現しましょう。
TOPPANエッジITソリューションでは、お客さまのAWS環境を「安全」「高品質」「柔軟」に運用できるようサポートする「AWS監視・運用支援サービス」を展開しています。
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【お客さまごとに最適化された監視設計】 
AWSのアドバンストティアサービスパートナーとして、クラウド特有の技術や運用ノウハウを備えています。上述の監視ツール「Zabbix」および「Datadog」を標準装備し、リソース・サービス・セキュリティなど多角的な監視を行うほか、監視項目や運用フローはお客さまごとの要望を反映した柔軟な設計が可能です。  
AWSの安定運用やセキュリティ対策、運用コストの最適化でお悩みの場合は、ぜひTOPPANエッジITソリューションの「AWS監視・運用支援サービス」をご利用ください。システムと人の両面で、お客さまにとって最適なAWS環境の実現をご支援します。
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