クラウド運用とは?重要性からクラウドの種類別運用方法まで解説

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01.クラウド運用とは?
クラウド運用とは、クラウドサービスを活用して、システムやアプリケーションが安定的に稼働するよう管理するプロセスを指します。従来のオンプレミス運用とは異なり、物理的なハードウェアやデータセンターの管理を必要とせず、クラウドサービスプロバイダーが提供するインフラ上で運用を行う点が特徴です。
たとえば、AWSやMicrosoft Azureのようなクラウドサービスプロバイダーは、サーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラを提供し、ユーザーはそれを利用してアプリケーションを構築・運用します。この環境では、物理的なサーバー設置や保守を行う必要がなく、企業はリソースを必要な分だけ使用し、その分だけ課金される「オンデマンド」型の運用が可能です。
クラウド運用の最大の利点は、スケーラビリティと柔軟性です。アクセスが集中する時間帯にはリソースを拡張し、逆に利用が減る夜間などには縮小することで、リソースの無駄遣いを防ぎつつ、高いパフォーマンスを維持できます。また、世界中のどこからでもシステムにアクセスできる点は、リモートワークの普及やグローバルなビジネス展開を支える重要な要素です。
一方で、クラウド運用は従来型のIT運用とは異なる知識とスキルを必要とします。たとえば、複雑な課金体系の理解やクラウドプロバイダー固有の技術習得が求められるため、専門家の支援が必要な場合もあります。
02.クラウドの種類
クラウドコンピューティングは、その柔軟性とスケーラビリティのために、企業のIT戦略において重要な役割を果たしています。クラウドの種類にはいくつかの異なる形態があり、それぞれが異なる利点と適用例を持っています。ここでは、主要なクラウド種類について詳しく解説します。
パブリッククラウド
パブリッククラウドは、クラウドサービスプロバイダーによって提供されるインフラストラクチャを共有する形態のクラウドです。サービスプロバイダーは、データセンターを所有し運営し、複数の顧客に対してリソースを提供します。代表的なパブリッククラウドプロバイダーには、Amazon Web Services (AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP) などがあります。
リソースは利用した分だけ支払う従量課金制が一般的で、基本的に、初期投資が不要です。また、必要に応じてリソースを迅速に拡張・縮小できるなど、需要の変動に対応し易い点や、インフラストラクチャの管理はプロバイダーが行うため、企業は自社のコアビジネスに集中できるといった特長があります。
スタートアップ企業などが、初期投資を抑えつつ迅速にサービスを展開するケースや、季節やイベントによりトラフィックが大きく変動するeコマースサイトなどで活用が拡がりました。昨今では、企業の業務アプリケーションなど多くの用途で導入が進んでいます。
プライベートクラウド(ホステッド型)
プライベートクラウド(ホステッド型)は、特定の企業専用に設計されたクラウド環境で、外部のデータセンターにホスティングされます。この環境は、パブリッククラウドの利便性を享受しつつ、専有リソースを確保することで、セキュリティやコンプライアンス要件を満たすことができます。
専有リソースを使用するため、データの機密性やプライバシーが高まると同時に、企業のニーズに合わせたカスタマイズが可能で、特定のアプリケーションやワークロードに最適化できる特長があります。金融機関や医療機関など、高度なセキュリティとコンプライアンスが求められる業界および、大規模なエンタープライズアプリケーションやデータベースを運用する企業で導入が進んでいます。
ハイブリッドクラウド
ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウド(ホステッド型)、および物理サーバー(オンプレミス環境)などの、異なるサービス・サーバーを組み合わせたクラウド環境です。これにより、企業はそれぞれのクラウドの利点を最大限に活用し、柔軟性と効率性を高めることができます。
ワークロードやデータを最適な環境に配置できるため、コスト効率とパフォーマンスのバランスを取ることができると同時に、パブリッククラウドのスケーラビリティを利用しつつ、プライベートクラウドや物理サーバーのセキュリティを維持できる特長があります。
適用例としては、既存のオンプレミスインフラストラクチャを活用しつつ、ピーク時のワークロードをパブリッククラウドに一時的にデータ移設する企業や、データの機密性を確保しつつ、非機密データをパブリッククラウドに保存することでコストを削減する企業に拡がっています。
これらのクラウドの種類を理解することで、企業は自社のニーズに最適なクラウド戦略を策定することができます。それぞれのクラウド形態には固有の利点と課題があるため、適切な選択を行うことが重要です。
03.クラウド運用の重要性
近年、クラウドコンピューティングは企業にとって欠かせない要素となり、システム運用の中心的な存在として定着しています。クラウド運用には多くの利点があり、その重要性はますます増しています。ここでは、クラウド運用の重要性について詳しく説明します。
コスト効率の高い運用
クラウド運用のメリットの一つはコスト効率の高い運用が可能になる点です。クラウドコスト管理を適切に行うことで、無駄な支出を削減し、効率的なリソース利用が実現できます。
従来のオンプレミス型インフラストラクチャでは大規模な初期投資や設備の維持費用が必要ですが、クラウド環境では利用するリソースに応じて料金が発生するため、無駄なコストを削減できます。適切な運用が行われれば、不要なリソースの浪費を防ぎ、効率的な運用が可能となります。
高可用性と信頼性の確保
クラウド運用では、サービスプロバイダーが高度な冗長性を持つデータセンターを運営しており、システムの可用性と信頼性を確保しています。適切な運用により、障害発生時にも迅速にシステムを復旧させる体制が整い、ビジネスの継続性を確保することができます。これにより、運用担当者はダウンタイムを最小限に抑えるための戦略を実施することが可能です。
ビジネスの柔軟性を支える運用
クラウド環境では、新しいアプリケーションやサービスの導入が迅速に行えるため、市場の変化やビジネスニーズに迅速に対応できます。運用の視点から見ると、これによりシステムの変更や拡張を容易に行うことができ、ビジネスの成長や変化に対応する柔軟性が高まります。
セキュリティの確立と維持
クラウド運用では、高度なセキュリティ対策が求められます。
サービスプロバイダーは最新のセキュリティ技術を導入しており、運用担当者はこれらのセキュリティ機能をうまく活用することで、不正アクセスやデータ漏洩からシステムを守ることができます。運用面でのセキュリティポリシーの策定や実施は、企業の資産を保護する上で非常に重要です。
イノベーションの推進を支える運用
クラウド環境では、新しい技術やツールを試すための環境が迅速に整うため、運用がイノベーションの推進に寄与します。運用担当者は、これにより開発・実験のスピードを向上させ、競争力を高めるための新たなソリューションを迅速に市場に投入することができます。効果的な運用は、企業のイノベーションを支える基盤となります。
以上のように、クラウド運用はコスト効率、高可用性と信頼性、ビジネスの柔軟性、セキュリティの確立、そしてイノベーションの推進といった多くの面で重要な役割を果たします。クラウド運用の重要性を理解し、適切な運用方法を取り入れることで、企業は競争力を高め、持続的な成長を実現することができるでしょう。
04.クラウドの主な種類別の運用方法
クラウド運用は、その種類によってアプローチや方法が異なります。ここでは、各クラウドそれぞれの運用方法について解説します。
パブリッククラウドの運用方法
パブリッククラウドは、Amazon Web Services (AWS) や Microsoft Azureなどのプロバイダーが提供する共有のシステム基盤を利用する形式です。パブリッククラウドの運用方法には以下のポイントが重要です。
<リソース管理と最適化>
パブリッククラウドでは、使用するリソースに基づいて料金が発生するため、リソース管理が重要です。Datadogなど、クラウド監視に適した監視ツールを活用して、リソース使用状況を常に確認し、不要なリソースを削除することでコストを最適化します。
<セキュリティ対策の強化>
データをインターネット経由で送受信するため、セキュリティ対策が不可欠です。プロバイダーが提供するセキュリティ機能を活用し、仮想ネットワークの設定、アクセス管理、データ暗号化機能を適切に設定します。また、定期的なセキュリティレビューと脆弱性スキャンを実施し、セキュリティリスクを最小限に抑えます。
<バックアップとリカバリ計画>
重要なデータやシステムのバックアップを定期的に行い、災害発生時の迅速なリカバリを計画します。クラウドプロバイダーが提供するバックアップソリューションを活用し、自動化されたバックアップスケジュールを設定することで、運用負荷を軽減します。
プライベートクラウド (ホステッド型) の運用方法
プライベートクラウド (ホステッド型)は、専用のシステム基盤を外部のデータセンターにホスティングする形式です。このタイプのクラウド運用は以下のポイントが重要です。
<システム基盤の監視と管理>
専用システム基盤のパフォーマンスや利用状況を継続的に監視し、必要な調整を行います。リソースのキャパシティプランニングを行い、今後の需要に対応できるようにします。また、運用管理ツールを活用して運用効率を向上させます。
<コンプライアンス遵守>
業界や規制に準拠するためのセキュリティやプライバシーポリシーを策定し、運用プロセスに組み込みます。定期的な監査を実施し、コンプライアンスの遵守状況を確認します。
<カスタマイズと最適化>
組織のニーズに合わせてシステム基盤をカスタマイズします。例えば、ネットワークの設定やストレージ構成など、専用の環境であることを生かして最適化を行います。これにより、効率的な運用が可能となります。
ハイブリッドクラウドの運用方法
ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドとプライベートクラウド(ホステッド型)を組み合わせた形式です。このタイプのクラウド運用には以下のポイントが重要です。
<統合管理とオーケストレーション>
異なるクラウド環境間でのリソースの統合管理が求められます。これを実現するために、オーケストレーションツールを活用し、リソースの配置や管理を一元化します。これにより、シームレスな運用が可能となり、リソースの最適化が図れます。
<データ移動と連携の最適化>
ハイブリッドクラウドでは、データの移動や異なるクラウド環境間の連携が頻繁に発生します。データ移動の最適化と連携プロセスの効率化のため、データ統合ツールやAPI管理ツールを活用します。これにより、データの一貫性と可用性を高めることができます。
<セキュリティとコンプライアンスの維持>
複数のクラウド環境をまたがるため、セキュリティやコンプライアンスの管理が一層重要となります。統一されたセキュリティポリシーを策定し、各クラウド環境で一貫して適用します。また、エンドツーエンドのセキュリティ監視を実施し、異常検知や脅威対策を迅速に行います。
<バックアップとディザスタリカバリの計画>
ハイブリッドクラウドでは、データやアプリケーションのバックアップとディザスタリカバリ計画が複雑になります。各クラウド環境でのバックアップ戦略を統一し、ディザスタリカバリ計画を詳細に策定します。これにより、災害発生時の迅速な対応が可能となります。
以上のように、クラウドの種類によって運用方法は大きく異なります。企業は自社のニーズや目標に最適なクラウド環境を選択し、それに応じた運用方法を確立することで、効果的なクラウド運用を実現することができます。
05.クラウド運用を成功させるポイント
クラウド運用を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下では、その中でも特に重要な4つのポイントについて簡単に解説します。
より詳しい情報をお求めの方は、下記の関連コラムをご覧ください。
クラウドシステム運用のポイントは?ビジネスを成長させるための要点
クラウドファーストの戦略策定
クラウドファーストの戦略を策定することは、クラウド運用を成功させるための第一歩です。クラウドファーストとは、システムやアプリケーションの導入・運用において、まずクラウドベースのソリューションを検討するという方針です。この戦略を採用することで、柔軟性、スケーラビリティ、コスト効率の向上が期待できます。具体的には、クラウド移行計画の立案、適切なクラウドサービスの選定、長期的なビジョンの設定が重要です。
セキュリティ対策
クラウド環境では、セキュリティ対策が非常に重要です。クラウドサービスプロバイダーが提供するセキュリティ機能を最大限に活用し、自社のセキュリティポリシーと連携させることが求められます。具体的な対策としては、アクセス制御の強化、データ暗号化、定期的なセキュリティ監査、脅威の検出と対応などがあります。また、スタッフのセキュリティ意識を高めるための教育・訓練も不可欠です。
定期的なパフォーマンスレビュー
クラウド環境のパフォーマンスを最適化するためには、定期的なレビューが必要です。リソースの使用状況を監視し、必要に応じて調整を行うことで、効率的な運用を維持できます。パフォーマンスレビューには、システムの負荷テスト、ボトルネックの特定、リソースの最適化、コスト管理などが含まれます。これにより、クラウド環境の安定性とパフォーマンスを向上させることができます。
クラウド運用のアウトソーシング
クラウド運用の一部または全部を専門の外部業者にアウトソーシングすることも、重要な戦略の一つです。専門知識を持つプロフェッショナルに運用を任せることで、自社のリソースをコアビジネスに集中させることができます。アウトソーシングの選択肢としては、クラウドマネージドサービスプロバイダーの利用や、特定の運用業務のみを委託する方法があります。これにより、運用効率の向上とリスクの軽減が期待できます。
06.まとめ
クラウド運用を成功させるためには、クラウドファーストの戦略策定、セキュリティ対策、定期的なパフォーマンスレビューを始め、クラウド運用に適した専門企業を選定してアウトソーシングすることが重要です。
当社「リモート監視・運用サービス」は、セキュリティ拠点「ITサポートセンター」からお客さまのシステムの監視・運用を行うサービスです。クラウドファーストの市場環境に適応し、特にクラウドでサービスを運用されるお客さまにとって、最適なシステム監視サービスを提供します。
<ITサポートセンターによる監視体制>
24時間365日体制で当社ITサポートセンターからシステム監視を行い、リアルタイムでの異常検知を行います。経験豊富なエンジニアやオペレーターが常駐し、障害発生時には迅速に対応することで、顧客のビジネスに最小限の影響で済むように支援します。監視拠点のITサポートセンターは、国内最高水準のセキュリティ体制を誇り、高い可用性でシステム監視・運用サービスを提供することができます。
<クラウドファーストに最適化した機能>
クラウド環境でサービスを運用するお客様に最適な機能を備えており、クラウドの動的なリソース管理にも対応します。スケーラビリティを活かした監視を行い、リソースの自動拡張や縮小に合わせた負荷管理が可能です。また、現在オンプレでシステム運用を行っているお客さまに、クラウド基盤構築の支援も行います。クラウド基盤構築から監視・運用まで一貫したサポートで、お客さまのビジネス変革に貢献します。
<継続的なサポートと改善提案>
「リモート監視・運用サービス」では、単なる監視の提供だけでなく、継続的なサポートと改善提案も行います。これは、当社が50年のシステム運用実績で培ったノウハウと高い技術力により提供できるサービスと言えます。システムのパフォーマンス向上や新たなセキュリティ要件への対応など、定期的な評価に基づく提案を通じて、システムの健全性と運用効率の向上を支援します。企業ごとの運用要件に合わせた改善施策が提供されることで、長期的なIT戦略の実現をサポートします。