情シス業務のアウトソーシングガイド | メリット・デメリットと適した業務などを解説
 
            
          企業のIT担当部署、いわゆる「情報システム部門(以下、情シス)」は、現代の経営に欠かせない存在です。しかし、日々の運用・トラブル対応からシステム戦略の立案まで、求められる業務は多岐にわたり、慢性的な人手不足や属人化など、さまざまな課題に直面している企業も少なくありません。
そこで注目されているのが「情シス業務のアウトソーシング」です。
本コラムでは、情シスのアウトソーシングについて、メリット・デメリットやアウトソーシング可能な業務範囲、注意点やベンダー選びのポイントなど、導入を検討する際に押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
目次
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01.情シス業務をアウトソーシングするメリット
情報システム部門のアウトソーシングは、近年多くの企業で広がっています。その背景には、「限られたリソースを戦略業務にシフトしたい」「専門的なサポートを受けてトラブル対応力を高めたい」など、様々なニーズがあります。
ここでは、情シス業務のアウトソーシングによる主なメリットについて解説します。
属人化を解消できる
情シス部門では、特定の担当者に業務が集中し、その人がいなければ業務が回らなくなる「属人化」が大きな課題です。属人化は業務の効率低下や担当者不在時のリスク増加につながります。
アウトソーシングを活用することで、専門ベンダーとの契約をもとに業務フローを標準化し、業務の「見える化」を進められます。これにより、担当者に業務が偏る状況を避けられ、万が一の際も安定した運用が可能となります。
コストの最適化が可能
情シス部門には、システム管理からヘルプデスク、セキュリティ対策まで幅広い業務が存在し、そのすべてを自社で内製化することは、人件費や教育コストが大きな負担となります。
アウトソーシングを活用すれば、必要な業務だけを外部委託できるため、コストの最適化が可能です。また、正社員の採用・育成にかかる長期的な負担も軽減できます。
最新技術・知見の活用
情報システム分野は日進月歩で変化しています。セキュリティ、クラウド、ネットワークなど、最新技術への対応は自社だけでカバーするのが難しい場合も多いでしょう。 アウトソーシングベンダーは業界の最新トレンドをキャッチアップしており、専門性を活かした高品質なサービスを提供します。最新技術や知見を自社業務に取り入れることで、IT環境の安全性や生産性向上につながります。
リスク分散とBCPの強化
業務の属人化解消だけでなく、アウトソーシングはリスク分散にも効果的です。例えば、社内で大規模なシステム障害や災害が発生した場合にも、外部ベンダーの協力で早期復旧やBCP(事業継続計画)の強化が図れます。
本来業務への集中が可能
情シス担当者が日々のトラブル対応や定型業務に多くの時間を取られていると、企業のIT戦略策定や業務改革といった本来注力すべき業務がおろそかになりがちです。
アウトソーシングによって定型業務や障害対応を外部に任せることで、戦略的な業務にリソースを集中でき、企業全体の競争力向上やDX推進にもつながります。

02.情シス業務をアウトソーシングするデメリット
一方で、アウトソーシングには注意すべき点も存在します。仕組み化や効率化の恩恵を受けられる一方で、自社で業務を行う場合と異なる課題も生じるため、導入前にデメリットについても把握しておくことが重要です。
自社にノウハウが蓄積しにくい
アウトソーシングは、外部ベンダーが業務を代行するため、自社スタッフが実務を経験する機会が減ります。その結果、IT周辺のノウハウや改善案などの「社内知見」が十分に蓄積されにくくなります。長期的な視点で考えた場合、自社内の情報システム戦略や事業運営力を弱めてしまう懸念があります。
コミュニケーションの壁
アウトソーシングは、社外の担当者が業務を行うため、コミュニケーションのタイムラグや認識齟齬が生じることがあります。自社特有の用語や事情、現場担当者のリアルな課題感がうまく伝わらず、サービスの品質や対応速度に影響を及ぼす場合もあります。
追加費用や契約の制約
業務範囲が明確でない場合、「契約外」となる作業が発生した際に追加費用がかかる可能性があります。定型業務以外の、たとえば緊急トラブル対応や臨時の特別依頼などについても、契約内容を事前に確認しておく必要があります。
ベンダーロックイン・依存リスク
一度アウトソーシングを始めると、そのベンダーの固有技術や運用ノウハウに依存してしまい、ベンダーの乗り換えが難しくなるケースもあります。将来的な業務変更や組織再編を見越して、複数社の比較・選定や、契約内容を定期的に見直すことも有効です。

03.情シス業務におけるアウトソーシング可能な範囲
一口に「情シス業務」といっても、その内容は多岐にわたります。そのため、すべての業務をアウトソーシングできるわけではありません。ここでは、アウトソーシングがしやすい業務・しにくい業務について整理します。
アウトソーシングがしやすい情シスの業務
・ヘルプデスク・サポート業務
社内ユーザーの問い合わせ対応や、PC・スマートフォンの設定、トラブル対応などは、豊富な運用実績を持つ外部ベンダーに委託しやすい分野です。
・システム運用・保守
サーバーの稼働監視、バックアップ、ソフトウェアアップデートなど、定型的な運用やメンテナンス業務はアウトソーシングが一般的です。24時間365日対応など、ベンダーの体制を活かすこともできます。
・ネットワーク管理
ルーターやスイッチの設定、ネットワーク障害時の一次対応、VPNの設定管理などもアウトソーシング候補として挙げられます。
・セキュリティ対策
ウイルス対策ソフトの導入・運用、脆弱性診断、監視サービスなどは専門性が高く、ベンダーの知見を活用することで、より安全な運用が実現可能です。
・IT資産管理
パソコンやプリンターなど機器の棚卸し、ソフトウェアライセンス管理、リース・廃棄業務なども標準化しやすく、委託のメリットが大きい分野です。
アウトソーシングしにくい情シスの業務
・システム戦略の企画・推進
全社的なIT戦略や、新規システムの導入企画など、企業の中長期戦略に関わる業務は、経営陣や関連部門との密接な調整が不可欠です。自社のビジョンや事業方針を理解した担当者が携わる必要があるため、外部委託には不向きです。
・現場業務のDX推進や業務改善
自社独自の業務プロセスや、現場との細かな調整が求められる改善活動、DXプロジェクトなどは、社内の業務に精通した担当者の関与が求められる分野です。
・コア業務との連携が密な領域
経理や人事など基幹システムと密に連動する業務は、自社事情の理解が不可欠なため、外部委託の難易度が高くなります。
部分アウトソーシングの進め方
全体を丸ごと委託するのではなく、「運用・保守は外部委託」「戦略・企画は社内担当」など、業務ごとに分割管理する「部分アウトソーシング」が主流です。自社の業務量や成熟度にも合わせて最適な範囲・体制を設計しましょう。

04.情シス業務をアウトソーシングする際の注意点
効果的なアウトソーシングを実現するためには、導入前後の様々なポイントに注意する必要があります。単なる価格や業務範囲のみならず、自社のビジョンや体制・ベンダー側の評価も含めた、多角的な視点が重要です。
業務範囲を明確にして依頼する
アウトソーシングでは、「どこまでを委託するか」「どこからが自社対応か」を明確にすることが最重要です。例えば、「ヘルプデスクの一次対応のみを委託」「システム障害時の調査までは自社対応」など、具体的に範囲を定め、契約書に明記することが重要です。
情報セキュリティ・個人情報保護
機密情報の取り扱いについては、万全のセキュリティ対策や個人情報保護、コンプライアンス遵守体制が整っているベンダーを選定する必要があります。情報漏えい対策の体制、VPN・暗号化技術の有無、プライバシーマーク取得状況などを事前にチェックしましょう。
定期的な見直し・評価体制の構築
アウトソーシングは「導入して終わり」ではなく、定期的にサービス内容や品質について見直しを行うことが欠かせません。契約更新時だけでなく、四半期や半年ごとに「満足度」「課題点」「改善案」などを評価し、自社の運用体制に最適化していくプロセスが大切です。
自社担当者との連携設計
アウトソーシング後も、自社側で「窓口担当者」を明確にし、ベンダーとのコミュニケーションや現場との調整を円滑化しましょう。情報共有の頻度や報告形式、イレギュラー対応時の連携フローなども、事前に合意しておくことが重要です。

05.情シス業務のアウトソーシング先のタイプと選び方
アウトソーシング先には、対応範囲ごと・専門性ごと・運用形態ごとなど、さまざまなサービスがあります。自社の課題に応じて使い分けることで、ベストな委託体制を構築できます。
大手ITサービス企業(全方位型)
大規模なITサービス企業やSIerは、ヘルプデスクからインフラ運用、セキュリティ強化、さらには業務系システムの企画・開発まで、幅広い情シス業務に対応できます。全国規模や大手企業向けの実績も豊富で、信頼性・安定性を重視する場合におすすめです。
専門特化型ベンダー(分野特化型)
ネットワーク運用、クラウド管理、サイバーセキュリティ、PCキッティングなど、特定分野に強いベンダーも多く存在します。自社の課題が明確で、特定業務のみアウトソーシングしたい場合は、専門性の高いベンダーが適しています。費用対効果が高く、スピーディな導入も可能です。
クラウド型・リモート運用サービス
クラウドサービスの普及やコロナ禍による働き方改革も後押しし、遠隔地からネットワークやサーバー、アプリケーションの運用を委託できるクラウド型・リモート運用サービスも代表的な選択肢として定番化しています。こうしたサービスでは、委託元企業がアウトソーシング先のメンバーのためにオフィスや作業スペースを用意する必要がなく、物理的な制約なく柔軟な運用体制を構築できます。
ベンダーの選び方・比較ポイント
価格のみならず、「対応実績」「得意分野」「サービス範囲」「品質保証体制」「セキュリティ対策」「サポート体制」「契約の柔軟性」「評判・導入事例」など、多角的な観点で比較検討しましょう。初めて導入する場合はトライアルサービスの活用も有効です。

06.まとめ
情シス業務のアウトソーシングは、「人手不足」「業務属人化」「コスト増加」「技術革新の対応」など、現代企業が直面する様々な課題の解決手段として有効です。一方で、「ノウハウ蓄積」「コミュニケーションの壁」「ベンダー依存」など、見落としがちな側面についても十分な準備・配慮が求められます。
アウトソーシングの範囲や導入体制、業務分担、ベンダーの選定まで、しっかりと計画を立てることが成功への第一歩です。
情シス業務のアウトソーシング導入には、「現状分析」「業務範囲の明確化」「サービスレベルの調整」「セキュリティ対策」など、多くのステップが存在しますが、社内体制の課題解消や本来業務への集中、経営体力の強化につながる投資となり得ます。
TOPPANエッジITソリューションのITエンジニアリングサービス
当社では、企業の多様なITニーズにワンストップでお応えする「ITエンジニアリングサービス」をご提供しています。本サービスは、お客さまのオフィスやデータセンター(オンサイト)に当社のITエンジニアが常駐し、インフラ構築から運用、業務アプリケーションの企画・開発、24時間365日のシステム監視・運用まで、ITビジネス全体をトータルでサポートします。
また、社内に情報セキュリティ管理委員会を設置し、従業員一人ひとりのセキュリティ意識およびリテラシー向上を目的とした、セキュリティ教育に力を入れています。この取り組みによって、お客さまが安心して業務のアウトソーシングをしていただける体制の構築と、サービス品質の向上を実現しています。
ご要望に応じて、サーバーエンジニア、クラウドエンジニア、ネットワーク/セキュリティエンジニア、アプリケーションエンジニア、システム運用管理者、システムオペレーターといった各分野の経験豊富なエンジニアが常駐し、お客さまのビジネス課題を確かな技術力で支援します。
本サービスの詳細については、下記リンクよりご覧ください。
 
               
                              
                             
                              
                             
                              
                             
                           
                           
                           
                           
                           
                                  
                                 
                                  
                                 
                              
                             
                              
                             
                              
                             
                              
                            