システム障害とは?種類から原因・対策までまとめて解説

企業活動や社会生活に欠かせないITシステムは、サービス運用や業務効率化の根幹です。一方で、システム障害が発生するとビジネスに甚大な影響を及ぼしかねません。本コラムでは、「システム障害とは何か」「主な原因や種類」「未然に防ぐための対策や、万が一発生した際の対応法」などを広く解説します。
目次
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01.システム障害とは?
ビジネスを支えるITシステムが利用不可能、または著しい処理性能の低下が見られる状態を「システム障害」と呼びます。障害によって業務システムにアクセスできなくなったり、ECサイトがダウンして売上に直結するリスクが生じるため、企業内外への影響は深刻です。
近年はオンプレミスとクラウド・外部サービスとの連携も増え、障害の原因が複雑化しがちです。たとえば、外部APIのレスポンスが遅延し、結果としてシステム全体が停止してしまう場合もあります。
こうしたリスクを回避し、安定稼働を維持するには、日頃からの監視やメンテナンス、そして障害が起きた際の速やかな切り分けが重要です。
02.システム障害の主な原因・種類
システム障害はさまざまな要因によって引き起こされますが、「内的要因」と「外的要因」に大別できます。
内的要因
(1) ヒューマンエラー
システム運用や管理において人間が行う作業は不可欠ですが、その一方で「ヒューマンエラー」はシステム障害の主要な要因のひとつです。
たとえば、誤った設定変更やデータ入力ミス、保守手順の不備などにより、一見些細なミスが連鎖的にシステム全体の動作不良や停止へと発展するケースがあります。
(2) プログラムやソフトウェアのバグ
開発段階でのテスト不足や、実際の運用時に初めて明らかになる不具合も含め、さまざまなバグが障害原因となる場合があります。
特に、複数の外部APIとの連携や複雑なロジックが絡む場合、どの部分に不具合が潜んでいるかを特定するのは容易ではなく、障害発生後の原因究明に多大な時間と労力を要する事例が多く見受けられます。
(3) ハードウェアの故障
システムの根幹をなすハードウェアは、長期間の運用や環境変動、過負荷などにより、物理的劣化や突発的な故障を引き起こすリスクがあります。たとえば、ハードディスクでは摩耗や衝撃による読み取りエラー、メモリでは経年劣化や電気的な不具合が生じると、システム全体の動作が不安定になる可能性があります。また、電源装置の故障は全体への安定した電圧供給を阻害し、他のハードウェアに悪影響を及ぼす場合が多いです。
このような故障は、事前に明確な兆候を掴みづらいことが特徴です。
外的要因
(1) 自然災害
地震・台風・豪雨といった自然災害は、データセンターの浸水や建物の破損、停電などを引き起こし、短時間でも多大な被害をもたらします。日本では特に地震リスクへの対策が欠かせません。
(2) ネットワーク障害や突発的トラフィック増大
通信回線の障害やSNS拡散などによるアクセス集中がサーバーを一気に圧迫し、応答不能に陥るケースです。内部最適化だけでは回避しづらい側面があります。
(3) サプライチェーン・外部サービスの不安定化
クラウドサービスや他社APIでの障害発生により、連動している自社システム全体が利用不可になる可能性があります。さらに半導体の供給不足などで、機器交換が必要な際にパーツが入手できず、復旧が遅延することも考えられます。
03.システム障害によるリスクや影響
システム障害が発生すると、サービスの停止やデータ消失といった直接的な被害はもちろん、企業全体に連鎖的な影響を及ぼします。
保守・運用の対応コスト
障害が起こると復旧や原因調査に多くの時間と費用がかかり、本来の業務やプロジェクトに影響が及びます。長期化すると残業などにより人的コストが増え、ビジネス損失も拡大します。
顧客満足度の低下・信用失墜
ECサイトやオンラインサービスが利用不能になると、売上減少や顧客離れ、さらには信用の低下といった影響をもたらします。長期的な信用回復には時間と努力が必要となり、企業の競争力に大きなダメージを与える可能性があります。
二次被害や情報漏えいのリスク
障害の中には、不正アクセスやサイバー攻撃から発生するケースもあります。データ改ざんや情報漏えいが起きた場合、補償や信頼喪失などさらなるコストがのしかかり、企業イメージにも大きな傷を残しかねません。
04.システム障害の事前対策
システム障害を未然に防止するためには、平時からのリスク評価と対策が不可欠です。ここでは、システムが万が一の事態に備え、障害発生のリスクを最小限に抑えるための具体的な取り組みを解説します。
障害を早期に検知する仕組み
障害の初期兆候を迅速に捉えるためには、システム監視ツールやログ解析ツールを活用してリアルタイムで状況を把握する仕組みが重要です。たとえば、サーバーの負荷状況やエラーログ、ネットワークの応答速度などを常時監視し、異常値を検出した際には自動でアラートを発する体制を整えることで、問題の早期発見と迅速な対応が可能となります。
定期的なバックアップと冗長構成の実装
自然災害やハードウェアの障害に対しては、定期的なデータバックアップや、システム冗長構成の確保が効果的です。特に、ハードディスクの故障やシステム障害時において、即時に運用を再開できる環境を用意することで業務停止時間を短縮し、被害を最小限に抑えることができます。
従業員の教育とシミュレーション訓練の実施
ヒューマンエラーを防止するためには、定期的な教育や訓練が不可欠です。
システム障害発生時の対応フローを全従業員が理解し、シミュレーション訓練を実施することで、実際の障害発生時に迅速かつ適切な対応ができる体制を築いておく必要があります。
05.システム障害発生時の対応
万が一システム障害が発生した場合、迅速かつ正確な対応が求められます。障害対応においては、一次対応として現状把握を行い、原因究明とともに復旧策を講じる流れが基本となります。以下に、具体的な対応プロセスを示します。
障害の状態を把握する
障害発生直後は、まずシステム全体の状況を速やかに確認することが重要です。どのシステムやサービスが影響を受けているのか、障害の範囲や規模、発生時刻などを整理し、影響範囲を明確化します。また、被害が拡大する前に、関連部署や外部パートナーへ連絡し、情報共有を迅速に行う体制の確立が必要です。
障害の原因を特定する
障害の状況が把握できた後は、ログ解析やシステムモニタリングツールの情報から、障害発生の原因を特定します。内的要因か外的要因かを明確にし、必要に応じて専門チームを編成し、詳細な原因究明を進めます。原因が特定できた段階では、同様の障害が再発しないよう、根本原因の修正および再発防止策の策定が求められます。
復旧作業と検証
障害原因の特定後、速やかにシステムの復旧作業に着手します。復旧作業では、短期的な暫定措置と恒久的な解決策の双方を検討しながら、システム全体の機能を元の状態に戻すことが最優先となります。
作業中は、各種ログの解析や現場からのフィードバックをもとに、処置内容が正しく実施されているかどうかを随時確認し、復旧作業が完了した段階でシステム全体の動作確認を入念に行います。こうした検証プロセスは、復旧作業が完全に成功し、今後同様の障害が再発しないことを確認するために不可欠です。
テスト結果や復旧後のパフォーマンス指標が正常な状態に戻ったことが確認されることで、次のステップに進む準備が整います。
情報共有と再発防止策の検討
復旧作業完了後は、障害発生の経緯、原因、対応策および復旧プロセスを、関係者に迅速に共有します。内部関係者のみならず、場合によっては外部パートナーや顧客への報告も含め、状況の透明性を確保することで、信頼関係の維持に努めます。
また、共有された情報をもとに障害の根本原因を再度検証し、運用手順やシステム構成の見直し、監視体制の強化など、再発防止策の検討・策定を進めます。こうした取り組みにより、再発リスクが低減し、システム信頼性の向上と業務全体の安定稼働が実現されます。
06.システム障害対策に有効なシステム監視ソリューション
システム障害を防ぎ、発生時の影響を最小限に抑えるには、常時監視と早期検知を実現する仕組みが欠かせません。サーバーやネットワーク、クラウドリソースの使用率などを一元管理できる監視ソリューションを導入すれば、障害の兆候を素早く検知し、被害を抑えられます。自社で24時間365日の運用を行うには専門知識と人員が必要ですが、外部に任せればコストや運用負担の削減が見込めるでしょう。
当社の「リモート監視・運用サービス」では、強固なセキュリティ体制を備えた「ITサポートセンター」で経験豊富なエンジニアが常時システムを監視し、異常を検知次第、アラート発報と原因究明を迅速に行います。さらに、リスク未然防止のための運用見直し提案や、総合的なサポートも提供し、お客さまにとって最適なシステム監視サービスを提供します。
リモート監視・運用サービスの特長
- ITサポートセンターによる監視体制
24時間365日体制で当社ITサポートセンターからシステム監視を行い、リアルタイムでの異常検知を行います。経験豊富なエンジニアやオペレーターが常駐し、障害発生時には迅速に対応することで、顧客のビジネスに最小限の影響で済むように支援します。監視拠点のITサポートセンターは、国内最高水準のセキュリティ体制を誇り、高い可用性でシステム監視・運用サービスを提供することができます。 - クラウドファーストに最適化した機能
クラウド環境でサービスを運用するお客様に最適な機能を備えており、クラウドの動的なリソース管理にも対応します。スケーラビリティを活かした監視を行い、リソースの自動拡張や縮小に合わせた負荷管理が可能です。また、現在オンプレでシステム運用を行っているお客さまに、クラウド基盤構築の支援も行います。クラウド基盤構築から監視・運用まで一貫したサポートで、お客さまのビジネス変革に貢献します。 - 継続的なサポートと改善提案
「リモート監視・運用サービス」では、単なる監視の提供だけでなく、継続的なサポートと改善提案も行います。これは、当社が50年のシステム運用実績で培ったノウハウと高い技術力により提供できるサービスと言えます。システムのパフォーマンス向上や新たなセキュリティ要件への対応など、定期的な評価に基づく提案を通じて、システムの健全性と運用効率の向上を支援します。企業ごとの運用要件に合わせた改善施策が提供されることで、長期的なIT戦略の実現をサポートします。
07.まとめ
システム障害は多様な要因を含み、完全に防ぐのは困難です。しかし、正しい知識と万全な備えがあれば、トラブル時に動じることなく最適な対処ができます。自社のIT基盤や運用体制を見直し、必要なソリューションを導入しながら、障害リスクを大幅に低減させて、安定したビジネス成長を実現しましょう。