クラウド監視とは? 目的から具体的な方法、ツールまで解説

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01.クラウド監視とは?その必要性と重要性
クラウド監視とは、クラウド環境でのシステムやサービスの稼働状況、パフォーマンス、セキュリティをリアルタイムで監視し、異常や問題を早期に検出・対応するための仕組みです。
クラウド環境は動的かつ複雑であり、頻繁にリソースのスケーリングやサービスの変更が行われるため、クラウド監視が不可欠です。
クラウド監視の必要性
システムの可用性維持
クラウド上のサービスが止まらないようにするために、問題発生時に迅速に検知し、対処する必要があります。多くのサービスが連携して動作しているため、一部の障害が全体に影響を与えることがあります。クラウド監視を行うことで、そのインシデント対応が可能になります。
パフォーマンスの最適化
システムやアプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムでモニタリングし、ボトルネックやリソースの過剰使用を検出して改善します。
セキュリティリスクの軽減
異常なアクセスや不正活動を検知し、迅速に対応することで、セキュリティリスクを低減します。
コストの最適化
リソースの無駄な使用を検出し、適切な対策を講じることで、クラウド利用コストを削減します。
このように、クラウド監視はシステムの運用において重要な役割を果たします。
本コラムでは、クラウド監視の具体的な目的や監視項目、成功させるポイント、実際の監視方法について詳しく解説していきます。
02.クラウド監視の目的
クラウド監視の目的は多岐にわたり、システムの安定運用やパフォーマンスの向上、セキュリティの確保、コスト管理など、さまざまな側面で重要な役割を果たします。以下に、クラウド監視の主な目的を詳しく解説します。
システムの可用性維持
クラウド環境におけるシステムの可用性を維持することは、ビジネスの継続性を確保するために不可欠です。
クラウド監視は、システムやサービスが正常に動いているかをリアルタイムでチェックし、障害や異常を早期に検出することで、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。これにより、システムが停止する時間を最小限に抑え、ビジネスに与える影響を減らすことができます。
パフォーマンスの最適化
クラウド監視は、システムやアプリケーションの動作がスムーズであるかを確認します。パフォーマンスのボトルネックやリソース(CPU、メモリ、ストレージなど)の使用状況を監視し、過剰な負荷がかかっている場合には適切な調整や最適化を行います。これにより、システムの応答速度が向上し、ユーザーの利便性が向上します。
セキュリティリスクの軽減
クラウド環境では、セキュリティの脅威が常に存在しており、監視を怠ると重大なセキュリティインシデントが発生する可能性があります。クラウド監視は、異常なアクセスや不正な活動を検知し、迅速に対応することで、セキュリティリスクを低減することができます。
コストの最適化
クラウド監視は、リソースの無駄な使用を検出し、適切な対策を講じることで、クラウド利用にかかるコストを削減することができます。例えば、夜間に使われていないサーバーを停止したり、過剰なリソースを削減したりすることで、クラウド利用にかかる費用を抑えることができます。
03.クラウド監視の項目
クラウド監視では、システムやサービスが正常に動作し続けるように、さまざまな項目を監視する必要があります。以下に、クラウド監視で確認すべき主要な項目を解説します。
稼働状況
クラウド環境におけるシステムやサービスが正常に動いているかどうかを監視します。具体的には、サーバーの稼働状態、ネットワークの接続状況、データベースの応答性などをチェックします。これにより、システムのダウンタイムを最小限に抑え、サービスの中断を防ぐことができます。
異常検知
異常検知は、システムやサービスの異常な動作やパフォーマンス低下を早期に発見するための重要な監視項目です。異常検知には、CPU使用率やメモリ使用量の急激な変動、ネットワークトラフィックの異常な増加、エラーログの頻発などが含まれます。これにより、問題が大きくなる前に迅速に対応することが可能です。
パフォーマンスモニタリング
クラウド環境では、システムやアプリケーションのパフォーマンスを最適化するために、パフォーマンスモニタリングが重要です。具体的には、レスポンスタイム、スループット、リクエスト数、エラー率などの指標を監視します。これにより、パフォーマンスのボトルネックを特定し、適切な対策を講じることができます。
リソース利用状況
クラウドリソース(CPU、メモリ、ストレージなど)の使用状況を監視し、過剰なリソース使用や不足を検出します。これにより、リソースの適切なスケーリングや再配置を行い、コストの最適化を図ることができます。
セキュリティ監視
クラウド環境では、セキュリティリスクを軽減するために、セキュリティ監視が欠かせません。
セキュリティ監視には、不正アクセスの検知、ネットワークの異常なトラフィック、セキュリティパッチの適用状況、脆弱性スキャンの結果などが含まれます。これにより、セキュリティインシデントの早期発見と対応が可能となります。
ログ管理と解析
システムやアプリケーションのログは、問題の原因を特定し、システムの健全性を評価するための重要な情報源です。ログ管理と解析を行うことで、エラーや警告、ユーザーの行動履歴などを把握し、問題解決やセキュリティ対策に役立てることができます。
04.クラウド監視を成功させるポイント
クラウド監視を効果的に行い、システムの安定運用やパフォーマンスの向上、セキュリティの確保を実現するためには、いくつかの重要なポイントがあります。
何を監視するかを決める
まず、何を監視するかを明確にすることが重要です。すべてを均等に監視するのではなく、ビジネスにとって重要な項目に重点を置くことで、効率的に監視できます。
優先すべき監視項目:
• アプリケーション:ビジネスにとって重要なアプリケーションの動きやパフォーマンスを監視します。
• リソースの使用状況:CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークなどの使用状況を監視し、過剰な使用や不足を検出します。
• セキュリティ関連項目:不正アクセスの検知、異常なトラフィック、セキュリティパッチの適用状況などを監視します。
異常を知らせる仕組みを作る
異常が発生した際に迅速に対応するためには、適切なアラート設定が不可欠です。
アラート設定のポイント:
• アラートの閾値設定:具体的な閾値を設定し、重要なイベントが発生した場合に通知が行われるようにします。
• 通知方法の設定:メール、SMS、チャットツール(Slack、Microsoft Teamsなど)を活用。また、適切な通知対象も決定します。
• 自動化の活用:特定のアラートが発生した際に自動的にスクリプトを実行し、問題を解決する仕組みを構築します。
データの可視化とダッシュボードの活用
監視データを効果的に活用するためには、データの可視化が重要です。ダッシュボードを活用して、リアルタイムでシステムの状態やパフォーマンスを一目で把握できるようにします。
データ可視化のポイント:
• ダッシュボードのカスタマイズ:特定の監視項目にフォーカスしたビューを作成します。
• グラフやチャートの活用:監視データを直感的に理解しやすくします。
• リアルタイムモニタリング:リアルタイムで監視データを更新し、異常が発生した際には即座に対応できるようにします。
定期的なレビューと改善
クラウド監視は一度設定して終わりではなく、定期的なレビューと改善が必要です。
定期的なレビューのポイント:
• 監視データの分析:パフォーマンスのトレンドや異常の発生頻度を把握します。
• 監視項目の見直し:新たなリスクや課題が発見された場合には、監視項目を見直します。
• ツールやプロセスのアップデート:最新の監視ツールやベストプラクティスを取り入れます。
05.クラウド監視の方法
クラウド監視を実施するためには、適切な方法を選び、実際に運用するための手順を理解することが重要です。ここでは、クラウドプロバイダーの監視サービス、統合監視ツール、専門業者への依頼の3つの方法について解説します。
クラウドプロバイダーが提供している監視サービスを利用する
各クラウドプロバイダーはそれぞれ監視ツールを提供しており、監視対象の規模が小さいうちはこれらのツールを利用することで十分に対応できます。以下に、代表的な監視サービスの例とその導入手順を解説します。
代表的な監視サービス:
• Amazon CloudWatch(AWS):メトリクスの収集、ログのモニタリング、アラート設定が可能で、AWSサービスとの統合がスムーズです。
• Microsoft Azure Monitor(Azure):アプリケーションのパフォーマンスやシステムの稼働状況を監視し、Azureの他のサービスと連携して包括的な監視が可能です。
• Google Cloud Operations Suite(GCP):ログ管理、トレース、エラーレポートなどを提供し、GCPサービスとのシームレスな連携が可能です。
手順:
1. アカウント設定:クラウドプロバイダーのコンソールにアクセスし、監視サービスのアカウントを設定。
2. 監視対象の追加:監視するシステムやサービスを追加し、監視項目を設定。
3. アラート設定:異常が発生した際に通知を受け取るためのアラートを設定。
4. ダッシュボード作成:監視データを可視化するためのダッシュボードを作成。
5. 運用開始:設定が完了したら、監視システムを稼働させ、定期的に監視データを確認。
メリット:
• 導入が迅速で簡単
• クラウド環境に特化した機能が充実
統合監視ツールを利用する
統合監視ツールは、複数のクラウドプロバイダーやオンプレミス環境を一元的に監視するために有効です。これにより、異なる環境を一つのツールで管理でき、運用の効率化が図れます。
以下に、代表的な統合監視ツールとその導入手順を解説します。
代表的な統合監視ツール:
1. Datadog:商用の監視ツールで、クラウド環境に特化した機能が豊富。システムのパフォーマンス監視、ログ管理、セキュリティ監視を一元的に行えます。
2. Zabbix:オープンソースの監視ツールで、幅広い機能を持ち、スケーラビリティが高い。大規模なシステムやネットワークの監視に適しています。
手順:
1. ツール選定:自社のニーズに合った統合監視ツールを選定。
2. アカウント設定:選定したツールのアカウントを作成し、クラウドやオンプレミス環境との連携を設定。
3. 監視対象の追加:監視するシステムやサービスを追加し、監視項目を設定。
4. アラート設定:異常が発生した際に通知を受け取るためのアラートを設定。
5. ダッシュボード作成:監視データを可視化するためのダッシュボードを作成。
6. 運用開始:設定が完了したら、監視システムを稼働させ、定期的に監視データを確認。
メリット:
• 複数のクラウドプロバイダーやオンプレミス環境を一元的に監視
• 高度なカスタマイズが可能
クラウド監視の専門業者にアウトソーシングする
クラウド監視の専門業者に監視業務をアウトソーシングすることで、自社のリソースを他の重要な業務に集中させることができます。専門業者は高度な技術と経験を持ち、効果的な監視を提供します。
手順:
1. 業者選定:クラウド監視の専門業者を選定。
2. 契約締結:業者と契約を締結し、監視の範囲やサービスレベルを明確にする。
3. 監視システムの設定:業者が監視システムの設定を行う。
4. 運用開始:業者が定期的に監視データを確認し、異常が発生した際には迅速に対応。
メリット:
• 専門知識と経験を持つプロフェッショナルによる監視
• 自社のリソースを節約できる
このように、クラウド監視を実施するためには、クラウドプロバイダーが提供している監視サービスを利用する方法、統合監視ツールを利用する方法、クラウド監視の専門業者にアウトソーシングする方法の3つの選択肢があります。それぞれにメリットがあり、自社のビジネスのニーズやリソースに応じた最適な方法を選択することが重要です。
06.まとめ
クラウド監視は、現代のビジネスにおいて欠かせない要素です。クラウド環境の急速な普及とともに、システムの可用性やパフォーマンス、セキュリティが企業の成功に直結する時代が到来しています。
クラウド監視は、単なる「監視」にとどまらず、ビジネスの継続性を支える「生命線」とも言えます。障害や異常を早期に検知し、迅速に対応することで、ダウンタイムを最小限に抑え、顧客の信頼を維持することができます。また、パフォーマンスを最適化し、コストを管理することで、企業の競争力を高めることにもつながります。
当社「リモート監視・運用サービス」は、セキュリティ拠点「ITサポートセンター」からお客さまのクラウドシステムの監視・運用を行うサービスです。前述した監視ツールのZabbix、Datadogを標準装備し、適切なアラート発報を実現。クラウドファーストの市場環境に適応したサービスです。
リモート監視・運用サービスの特長
- ITサポートセンターによる監視体制
24時間365日体制で当社ITサポートセンターからシステム監視を行い、リアルタイムでの異常検知を行います。経験豊富なエンジニアやオペレーターが常駐し、障害発生時には迅速に対応することで、顧客のビジネスに最小限の影響で済むように支援します。監視拠点のITサポートセンターは、国内最高水準のセキュリティ体制を誇り、高い可用性でシステム監視・運用サービスを提供することができます。 - クラウドファーストに最適化した機能
クラウド環境でサービスを運用するお客様に最適な機能を備えており、クラウドの動的なリソース管理にも対応します。スケーラビリティを活かした監視を行い、リソースの自動拡張や縮小に合わせた負荷管理が可能です。また、現在オンプレでシステム運用を行っているお客さまに、クラウド基盤構築の支援も行います。クラウド基盤構築から監視・運用まで一貫したサポートで、お客さまのビジネス変革に貢献します。 - 継続的なサポートと改善提案
「リモート監視・運用サービス」では、単なる監視の提供だけでなく、継続的なサポートと改善提案も行います。これは、当社が50年のシステム運用実績で培ったノウハウと高い技術力により提供できるサービスと言えます。システムのパフォーマンス向上や新たなセキュリティ要件への対応など、定期的な評価に基づく提案を通じて、システムの健全性と運用効率の向上を支援します。企業ごとの運用要件に合わせた改善施策が提供されることで、長期的なIT戦略の実現をサポートします。